教職専門実習

教職専門実習の目的

教職大学院のカリキュラムの特色のひとつに「教職専門実習」(10単位)があります。講義による学びと学校現場での学びを往還させ、理論と実践の架橋をめざす新しい教育を生み出す重要な科目がこの教職専門実習です。

教職大学院が創設された目的に「実践的指導力」のある教員の養成があります。本研究科では、実践的指導力とは実務能力に優れているということだけではなく、多様で複雑な教育課題のある中、子ども、保護者、教職員等との信頼関係を築きながら、これらの課題に的確、柔軟に対応しつつ、創造的に教育実践を担っていける力であると考えています。それには、理論知を実践の中で読み解く力、実践の中から普遍的な知見を練り上げる力が必要です。この力を育てることが実習の重要な目的です。

教職専門実習の概要

■学校臨床専門実習Ⅰ

初任期教員養成コース

1年次において、連携協力校における実習等を通して、学校が抱えている教育課顕の理解を深めること、職務遂行能力の基礎を養うこと、大学院での講義、演習などで得た知見を基に、実習における経験を省察し、その背景、文脈を読み解くことをテーマとします。

中核教員·リーダー教員養成コース

1年次において、勤務校における実習等を通して、中核教員(リーダー教員)として必要な職務遂行能力を身につけること、大学院での講義、演習などで得た知見を基に、実習における経験を省察し、勤務校の教育課題の背景、文脈を読み解くこと、勤務校の教育課題に向き合うことにより「臨床の知」を豊かにすることをテーマとします。

■学校臨床専門実習Ⅱ

初任期教員養成コース

2年次において、連携協力校における実習等を通して、指導力の向上を図るとともに、学校の教育課題の改善に向けた校内研究など、学校における組識的な業務を遂行する力量を身につけること、児童生徒の様子など学校における様々な状況の文脈を読み解き、その改善に向けた取り組みを推進する力塁を身につけることをテーマとします。

中核教員·リーダー教員養成コース

2年次(短期履修の場合は1年次)において、勤務校における実習等を通して、中核教員(リーダー教員)として必要な職務遂行能力の向上を図るとともに、学校の教育課題の探索、その課題の改善に向けた校内研究の企画、若手教員の育成など(リーダー教員の場合は、その課題を踏まえた学校経営戦略の作成など)、学校の組織的活性化、改善を図る力量を身につけることをテーマとします。

共通科目

共適科目は、教職コア科目としての5領域8科目16単位の履修により、教職の専門性を体系的・総合的に学ぶことを目的としています。基本的には1年次に履修します。

講義で理論的アプローチによる学びを行い、基礎知識を習得するとともに、今日的課題を整理します。演習では、理論的アプローチによる基礎知識を踏まえて、事例研究、模擬授業等のアプローチにより、実践的課題について知見を深めるとともに、自らの実践力の課題を明確にします。そして5領域の各科目で学んだことを各自で総合化し、分析・省察を適じて理論的な再構築を行うことが期待されます。そこに理論と実践の往還をめざした教職大学院での学びの特色があります。

各領域を専門とする研究者教員と教育実践に精通した実務家教員とがペアとなって担当することを基本としています。また授業科目によっては、「学部新卒院生」と「現職教員院生」とでクラスを分けて授業を行うものもあります。

共通科目のカリキュラム京都教育大学

コース必修科目

コース必修科目は、共適科目での学修を基盤として、各コースが目標とする資質能力を育成する上で中核となる専門科目群です。コースにより科目数が異なります。(各コースの科目名は、各コースのページをご覧ください。)

学校臨床力高度化系共通の省察実践研究、教科研究開発高度化系共通の教育実践研究セミナー、実践課題研究は、教職専門実習を含む他の授業科目での学びを振り返りながら、課題を発見し、探究すべきテーマを見出すことにより、学びの総合化、体系化を図り、実践力の向上を目指す中核となる科目です。院生には、これらの科目を適じて、主体的、対話的に深く学ぶことが期待されます。

選択科目

コース選択科目は、各コースの専門分野における個々の課題意識をさらに深め、幅広い学識と高い実践力を身に付けるための科目です。 科目名は、各コースのページをご覧ください。コース選択科目については、他コースの科目も履修することができます。

科目一覧

  • 授業コミュニケーション論
  • 授業研究の理論と実践
  • 授業力高度化演習
  • 学校におけるグループダイナミクス演習Ⅰ・Ⅱ
  • 危機管理のための事例演習
  • 子ども理解と臨床技法
  • 教育政策と教育行政・学校経営の課題
  • 学校・教員の裁量権と法的責任
  • 学校づくりとリーダーシップ
  • 学校組織改善の理論と手法
  • 教職員の意識と成長
  • カリキュラムマネジメント
  • 学校におけるグループダイナミクス演習Ⅰ・Ⅱ
  • 危機管理のための事例演習
  • 子ども理解と臨床技法

他系科目受講

京都連合教職大学院には、教科研究開発高度化系という系があります。教科研究開発高度化系科目のうちコース選択科目については、学校臨床力高度化系の院生も受講することができます。各教科、道徳教育、幼稚園教育や発達障害などに関する科目が開講されています。教科研究開発高度化系の科目を受講することにより、各自の問題意識や課題に応じて、その専門性をさらに伸ばすことができます。